マレーシア料理といえば、ナシレマッやチャー・クイティウ、レンダンなどがよく知られています。しかし、レンペンはあまり耳にしないかもしれません。地味な印象を持たれがちですが、地元の人々にとっては大切な定番料理のひとつです。
シンプルだからこそ味わい深い、マレーシア流の焼き菓子
レンペンはよく「マレーシア風パンケーキ」と表現されますが、薄力粉と水、少量の塩だけで作る簡単な生地を、平らなフライパンで焼き上げたものです。柔らかさのなかにほんのりとした歯ごたえもあり、多彩なサイドメニューと合わせやすい点が魅力です。朝食やティータイムなど、好きなタイミングで楽しむことができるでしょう。
地域や好みに合わせた自由な工夫
レンペンの大きな特徴は、その柔軟性にあります。生地のままでも十分おいしいですが、細切りにしたココナッツを加えたり、マッシュしたバナナを練り込んだりと、地域や個人の好みに応じたバリエーションが豊富です。こうした工夫によって、レンペンならではの味や食感をさらに引き立てています。
サンバルとの絶妙なハーモニー
最も人気のある食べ方は、辛い唐辛子ペースト「サンバル」を添えるスタイルだと思われます。素朴な薄焼きパンにスパイシーで香ばしいソースがよくからみ、至福の一口を楽しめるでしょう。辛いものが得意ではない方は、ハチミツやコンデンスミルクなど、甘みのあるトッピングで味わう方法もおすすめです。
薪火とともに蘇る懐かしい風景
カンプン(村)では、薪を使って焼き上げる伝統的な作り方が今でも残っています。わずかに香るスモーキーな風味は、現代のキッチンで再現するのが難しい贅沢かもしれません。多くのマレーシア人は、幼少期に祖父母の家で食べたレンペンと温かいコピ・オー(ブラックコーヒー)の思い出を大切にしているようです。
駐在生活でも意外と見つけやすい庶民の味
マレーシアで暮らしていてレンペンを試してみたい場合は、高級レストランよりも小さな食堂や道端の屋台に足を運ぶのが近道です。特に農村部を訪れると、多くの店で手軽に味わうことができます。料理好きの方は、自宅で作ってみるのも良いでしょう。材料が少なく手順もシンプルなため、料理初心者にも挑戦しやすいのではないでしょうか。
マレーシアンリンクでは、駐在員が地元の文化や食生活を深く理解できるよう、多方面からサポートを行っています。まだあまり知られていないレンペンのようなマレーシア料理を味わいたい場合は、ぜひお声がけください。地元のワルン(食堂)やカンポンのコミュニティイベントをご紹介し、マレーシアの食文化の奥深さを堪能いただけるようお手伝いします。
次回、マレーシアを探検する際は、ぜひレンペンを味わってみてください。有名な料理ほど話題にのぼらないかもしれませんが、その素朴な味わいと温かみのある食感が、多くの人の心を引きつけているようです。いつの間にか、このマレーシア流の焼き菓子に夢中になってしまうかもしれません。
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